立体の水に金魚は閉ざされて
次の日は、アイヌの墓に連れていってもらうことになっていた。実は、アイヌは墓参りはしなかったという。そのかわり、火のカムイを通じて先祖に祈ったり、カムイノミを行ったのだという。
福満の共同墓地の先にアイヌの墓はある。供え物を手に、伸びきった草木を掻き分け進んでいくと、さやさやという音に隠されていたかのように、木の墓標が現れた。男性の墓は槍の形に尖っていて、女性の墓は針穴の形に丸くなっている。近くにしゃがんで少しの酒を注いで、手を合わせる。生きている間に会うことのなかったこの墓に眠るアイヌの人たち。近くには色あせたイナウが刺さっていて、過ぎてきた時間を思わせる。生きることはさみしいと、ふといまさらのように気がついた。レラさんの呼ぶ声がした。薬になる草を見つけたという。その声に飛び込むように墓地を後にした。
