2015年9月3日

毒茸と見えていかにも焔のかたち

目黒駅にはふたつほど思い出があって、ひとつは近くの自動車教習所に通っていたということ。まんなかに大きな桜があって、春には花吹雪のなかを慣れない車で走った。きゃりーぱみゅぱみゅが通っていた。つけまつげが曼珠沙華みたいだった。ネットで調べたら、彼女は仮免学科試験で落ちていたらしい。今頃はもう卒業しているだろうか。がんばれ、ぱみゅぱみゅ。ぼくの親父がファンらしいのです。

もうひとつは寄生虫博物館。サヨリヤドリムシという名前の寄生虫が非常にキュートなので、是非ご覧いただきたい。平たい大きなダンゴムシみたいな図体で、サヨリのエラにすっぽりと収まっているのがかわいい。やっぱり、コイツも隅っこが好きなんだな。きっと仲良く出来ると思う。

前に東大俳句会メンバーの一部で吟行をしたときには、今泉のれなりんがすっごく気持ち悪がっていて面白かった。生駒さんや岳人さんがいつまで経っても二階の展示室から降りて来なかったので、その間に秋刀魚を捌くと寄生虫が出てくる話とか、口から回虫が出てきた時代の話などを聞かせて反応を楽しんでいた。「この寄生虫、もやしみたいですね〜」と聞こえよがしに言って、今後もやしを食べられないように呪いをかけたりもした。

彼女がもやしを食べている姿は見たことがないのだが、本当に食べられなくなっていたらどうしよう。流石に、やりすぎてしまった。もやしの、あの主人公には決してなれない生き様が素敵なのに。彼女の目には、野菜炒めすら地獄のように映るのかもしれない。しかし、もしも明日、いきなり世界から全もやしが消え去り人々の記憶から抹消されたとしても、現実の世界は何も変わらないのではないか。何かが足りない世界は、それはそれで折り合いのついた世界なのだろうと思う。もやしのない世界は、ただちょっぴり、味噌ラーメンの盛り付けが難しい。