あつくあつく世は戦へり君と会へり   高屋窓秋

新興俳句運動の中で多くの戦争俳句・戦火想望俳句がつくられた昭和13年の作。
窓秋が結婚した年でもあることから、この「君」はきっと新妻のことだろう。
ばかばかしい戦争に「あつく」なる「世」をよそに、「君」との出会いこそが大切なのだ。
清潔な言語感覚に、窓秋らしさがある。
掲句は三句連作〈月の中〉の初めの句で、
胸はあつく君のむかうに戦火がある
月光にかうして君と会ひ別れ

とつづく。

『高屋窓秋俳句集成』(沖積舎、2002)より。

第140回現代俳句協会青年部勉強会 「読み直す新興俳句 何が新しかったのか ①高屋窓秋」