2015年10月11日

朝影の死の遠くある頭蓋骨

11

イフガオ族の伝統的な住居に案内されました。とはいえ、ほぼ見世物として裕福な人が建てたものだそうで、屋内にはその民芸品コレクションが収まっていて誰も住んではいない。高床式で鼠返しもついていますが、正面の外壁にはゴテゴテ頭蓋骨を飾ってある。教養ありそうなイフガオのガイド氏曰く、伝統的にそれがお金持ちの徴なのだとか。よくみれば、水牛の骨の先に、人の骨。そもそも、イフガオも昔は首狩族だったそうです。彼等が首狩りをやめて後、でも今よりはもう少し世界が広かった1970年代に映像取材した日本人の証言でも、バスに(客として)半裸で槍持って乗ってきた、なんて話がありました※注。刀さして侍がのってくるようなもんかな。たしかに、当地の私設の民族博物館には、いまでも人を殺せそうな槍がずらっと並んでいた。全長で150センチくらいと短く、刃は日本の博物館で飾ってある美術品のようなやつじゃなく、築地の魚卸商が使い込んだ包丁のような色でした。とはいえ、件の家の骨たちがそこにきた経緯はよくわからないし、すでに他のなにかに変容しているようでした。

※注
武重邦夫「愚行の旅」http://www.cinemanest.com/imamura/glabo1/gukou_55.html