2015年11月19日

木枯一号鉄棒を置いて行く

夕方、歯医者へ行く。虫歯を詰める仕上げの日。硬化プラスチックのコンポジットレジンとかいうものらしい。出来たそのレジンを削ったり、薬を塗ったりするのを繰り返したのち、いよいよ嵌め込む時が来たらしい。

「大きく開けて!」というので、口の限りを開けた。

嵌め終えたらしく「閉じて!」と言われたから、しっかり閉じた。

途端に「がりっ」と、何か砕ける音がした。

「あれ?」と先生は呟いて「バキューム!」と、看護師さんに指示する。バキュームが口の中に散乱したものを吸い込んでいる。

椅子を起こされてテーブルを見ると、歯になるはずだった破片が置かれている。
「閉じるのが早すぎたね」と、先生が静かに微笑んだ。
泣きたい気持ちだったが、
「先生が棒(ステンレス製の)を口から抜くのが遅かったんですよ!」。
とは言えなかった。