2016年5月14日

鳥の飢炎天に影点じけり

彼が火を盗んだのは、天上のゼウスの宮の火処からだとも、その電火からとも、あるいは火の神ヘーパイストスの仕事場からともいうが、最も名高いのは太陽神の燃える車輪に燈心を押しつけて火を移し、隠し持って地上に降ったというので、それ以来人間は火を獲て、これをさまざまに用いる術をも教わり、夜も安らかに眠りうるようになった

呉茂一『ギリシア神話 上巻』(新潮文庫)