2013.9.14青磁社刊行
『魚目句集』より
とある古本屋は、置いてるものは素晴らしいけど、接客が大変悪い。結構高い本をレジに持って行っても、ありがとうございます、が言えない。それどころか、うんともすんとも言わない。僕、生活苦しいけど、頑張って高い本買ってるんだから、ございますは言えなくとも、ありがと、ぐらいは言ってくれても良いんじゃないかなと、嫌な気持ちになる。
電話をしながらお金を受け取ったり、常連の文学通とやらと話ながら本を包んだり、なんというか、嫌な感じなのだ。
でも、置いている本は素晴らしいのでよく覗きに行く。
会社の近くの小さな本屋さんも、接客がちょっとアレなんだけど、これもまた、近いのでよく覗きます。
でも、優しくされたいと思っていないわけではない。
『天地存問』
陽炎やをさなき竹にをさなき葉
をさなさの神秘。
白昼を能見て過ごす蓬かな
有名句ですね。白昼を能見て過ごしたいという人が増え、下五に蓬かな、なんてやりたい人も増え。とにかく忘れられない句です。
鯉おぼろあたまを水に打たせをり
これも有名句。鯉なんだけど、鯉なのはわかるんだけど、朧のかたまりのようにも見える。
こらへゐて雨も大粒空海忌
むうっ。
花つけてうつろの竹とひるの月
そして、うつろのひるの月。
雪吊や旅信を書くに水二滴
代表句ですね。水はちょんちょん、二滴。こんな美しい人、今居るんだろうか。
東大寺湯屋の空ゆく落花かな
日本に東大寺あり湯屋もあり。
桃の木にたつぷりと水夕涼み
二滴ではなく、今度はたっぷり。桃よ、たっぷり、ぷりぷり育て。
代表句だらけですね、あぁ、これ知ってる、これも知ってる、と素敵な句が並んでいます。
次は続きから
じゃ
ばーい