秋の虹足裏の砂を払ひけり 江渡華子

 この砂は何だろう。砂浜の砂だろうか。砂場の砂だろうか。ただはっきりと分かるのは、裸足であったことと払える程度の渇き具合の砂であること。
秋の淡くはかなげな虹を先に見せられた為か、砂の質感もどこか渇いた印象だ。ふっと自分に戻る瞬間。透明で傷つきやすい瞬間である。

(2015-9 緑)