2016年6月9日

ファインダーとまつげの間まで薫風

20160609

これは岩手県盛岡市の材木町の「よ市」の蒸し牡蠣うまい!、の写真。よ市では土曜の夕方になると歩行者天国となり屋台が並び、野菜やお花やお団子や地ビールやワインや焼いた海鮮を楽しめてしまうので、野外で飲むお酒がだいすきなわたしにはたまらない。この写真を撮ってもらったとき、わたしは青森から来たイラストレーターの工藤陽之さんとぬまりさんに盛岡を案内していた。工藤さんの個展に足を運んでその絵がだいすきになって、ワークショップに参加して仲良くなりこうして遊んで貰えるまでになるのだから、やっぱり好きってことは大きな声で本人にどんどん伝えたほうが良い。ふたりはわたしが紅茶を飲んでいても、みそ田楽を食べていても、ビールを飲んでいても、にこにこしながらそれを観察して時々うなずき、顔を見合わせて小声でなにか言い合ったりしながらわたしの写真を撮った。特に気にも留めず食べ続けていたが、牡蠣をつるりと飲み込んだらついにぬまりさんがふき出して「しかし、しあわせそうに食べたり飲んだりするねえ、牡蠣、そんなにおいしい、うんうん、よかったよかった。れいんちゃんにはいくらでもおいしいものを食べさせてあげたいよ」と笑った。わたしは赤面した。おいしそうに食べる、と言われることはもちろんうれしいのだけれど、それ以上に恥ずかしかった。なんというか、赤ちゃんだった時のわたしを褒められているような感じがしてくすぐったい。わたしはうれしそうにご飯を食べる人のことが好きで、それは大きな赤ちゃんのようだから愛しくて好きなのだけれど、まさか自分もそうだとは思わなかったのだ。
もうちょっとスマートに食べるように気を付けよう、と思いつつ最近は「マンガみたいな顔で食べるね」「七福神にいそうな笑顔」とまで言われるようになり、開き直っている。