2016年12月3日

犬の耳風に聳つ夜業かな

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2011年、福島の立ち入り禁止区域で捕獲された犬を里子に貰い受けた。
名前は白いので「ゆき」と名付ける。

実は里子といっても狂犬病の予防注射をする関係で我が家の名字を
つけ横浜市で登録をすませなければならない。
ただし、飼い主が現れたときにはお返しするという契約。
2か月間禁止区域を放浪していたので、たぬきを媒介とした病気に感染。
その上、震災のせいかさびしがり屋で真夜中にヒーヒーと
鳴き声をあげる。こちらが根をあげて、仕方なく私が玄関に犬と一緒に寝ることにした。
つまり娘たちはママを乗り越えて深夜帰宅をしていたわけである。
たぶん人懐こいので警察や消防の方からお弁当をわけてもらっていた
のではないかな?

何より問題だったのは先住犬が、転校生をいぢめるかのように揉める。
まあ今までお嬢様(犬だけど)のように育てられてきたのだから
仕方がないといえば仕方がない。
その上、このゆきが公園でお年寄りの人気者となってしまった。
もちろんその経緯(福島からの子)も含めて昔ながらの白の雑種というのが
郷愁をそそっただけなのだけど。
ただ犬というものは褒められると必ず反応するもの(人間も?)で
一方が褒められると一方は拗ねる。
こうして二匹との格闘で私の2011年は暮れていったのであった。

ちなみに5年たった今でも二匹の関係性は変わらず。
そして私にはゆきで作った句が一句だけ残っている。

さびしきもの水鉄砲と白き犬