2017年1月23日

暗室や手のぬくもりを確かめて

擬古調に於ける古語や雅語の布置が、現代詩に一つの安定を与えているように思うことは詩人の錯覚と無能である。確固たる形式。彼等はそんなものを必要としない。声にこそ出さないが、実は彼等は「発声」しているのだ。擬古調の詩は概して自己陶酔的な発声法の上にのみ成立している詩である。  小野十三郎『詩論』131