2017年2月5日

雪か。そうだね。そしてつぶやきはふいに消える

土曜日の夕方、多摩川の川辺。
藤子F不二雄ミュージアムで、まゆみとたかしはデートをしてきたのだった。

まゆみ「そういえばさ。朝、何聴いてたの?」
たかし「え?」
まゆみ「イヤホン。」
たかし「ああ、ソータイセイ、リロン。」
まゆみ「えー、そんなん聞くんだ。」
たかし「え、知ってんの。」
まゆみ「ダメなの?」
たかし「知らないと思ったからさ。」
まゆみ「ふーん。」
(間)
たかし「意外と趣味近いのかもね。」
まゆみ「そうかな。」
たかし「なんかさ、丸ノ内線で聴きたくなるんだよ、やくしまるひろこ。」
まゆみ「あー。」
たかし「小田急線はいきものがかりで、千代田線はくるりみたいなさ。なんか、そういうのない?」
まゆみ「いや、ちょっとわかる。どーせ、夕暮れ時とかに聞くんでしょ、フジファブリック。」
たかし「バレた。」
まゆみ「とりあえず(間)、エモい。」
たかし「エモいよな。」
まゆみ「もう、エモさしかない。フジファブリックに夕暮れとかエモさしかないよこれ。」
たかし「上京した時によく聴いてたな。」
まゆみ「へー、そうなんだ。」
たかし「狭い部屋で花枯らしてさ。」
まゆみ「ふーん。」
たかし「ぜんぜんお金ないからもやし炒めばっか食べてさ、5キロくらい痩せた。今ちょっと太ったけど。」
まゆみ「ちょっとどころじゃないじゃん。」
たかし「お前もな。」
まゆみ「うるさい。」
たかし「でも、深夜にコーラ飲んだりさ。ちょっと楽しかった。」
まゆみ「ふーん。」

まゆみ、ケータイを取り出す

まゆみ「ユーチューブ、フジファブリック。」
Siri「ウェブデ、フジファブリックノドウガガ、ミツカリマシタ。」

「茜色の夕日」フジファブリックまゆみ「もうちょっとここ、いよっか。」
たかし「うん。」

※お話はすべてフィクションです。