2017年2月9日

劇場をふりむき梅の咲いてゐる

歩くと色々なことを思い出す時がある。

日曜日、早起きをしたので多摩川沿いを散歩することにした。自然災害がおこると大変だけれども、川を毎日眺められるのなら、川沿いの暮らしも悪くないなぁなどと思いながら細くてひょろ長い先輩のことをなんとなく思い出していた。

散髪をするといつも変な髪型の先輩だった。
サザエさんのタラちゃんみたいになったと思えば、妙な角刈りになっていたりする。いつもバナナが真ん中に描かれたキャップを被ってごまかしていた。
変なレモンのTシャツと青いジャージをいつも着ていた気がする。
ネトストが得意だと言っていた。

卒業公演を終えた打ち上げで、「電車でさ、ちょっと涙出そうになってさ、かっこわるいよな。」ってぼそっと言っていた。またご飯行こうね、って言っていたけれど私も先輩も人を誘うようなタイプではない。

かげがえないとか、切実だとか、そんな言葉で括ってしまうと一気に何かが損なわれてしまうような気がして、いつも別の言葉を探している。その時の出来事を「書く」ことによって保存したいとかそういう訳ではなく、その時の「川」を書くことで、少しだけその時の「川」から思い出せるのかもしれないと思うことがある。(今日は川の俳句ではありませんが。)