2017年3月7日

かたまつて会計をする新社員

新卒研修中の五月の連休に、彼女に神保町を案内してもらった。彼女とは同期入社で、その頃はまだ付き合ってなくて、お互い単純によい友達だと思っていた。行きの電車は結構混んでいて、私は吊革に掴まっていたが、背の低い彼女は、私の二の腕を掴んできた。びっくりした。真意を量りかねた。変に勘違いするのは嫌やけど、とにかく腕に力を入れて私は謎の筋肉アピールを始めた。しかしこれまで筋肉を誇示する機会など一度もなく、誇示するだけの筋肉もなく、腕がプルプル震えるだけに終わった。彼女は全く意に介していないようだった。
神保町では休日のため閉まっている本屋も多かったが、石原八束の句集や、俳句関連本などを購入し、満足した。さぼうるで苦手だったコーヒーも飲んだ。しかし、心中はプルプルしぱなっしだった。彼女は全く意に介していないようだった。
京都の実家に帰ってからも「あれはいったいどういう意図なのだ、私と君の間にそんな感情はこれまでなかっただろう」と煩悶した。しかし、どちらにせよもう配属が決まり離れ離れなのだから良い思い出にしようと思った。
ところが、研修明けの配属先は、大阪営業所の予定だったのが品川営業所になり、本社勤務の予定だった彼女は新宿営業所に配属になった。私は余りにも素直にそれを喜んだ。