2017年3月17日

春泥の中から電気ケーブル引く

研修後配属された品川営業所では四人の同期と一緒だった。全員地方出身者で、会社からあてがわれた本郷台のレオパレスに住んでいた。
営業所では、入りたての新人にできることなど特になく、本社から指示のあった見込み客のリストアップが唯一の仕事だった。

配属されて最初の週の金曜日、渋谷で待合せをして、品川組と新宿組で飲み会を開いた。場所はGWに一緒に遊んだ例の彼女が決めたもので、お腹が減っているときによく行くという、彼女おすすめのダイナーだった。
皆、同じリストアップに駆り出されており、話は尽きなかった。そして彼女は、私がレオパレスで鍋も皿もなく、外食とじゃがりこに頼った生活をしていると知ると、明日にでも生活用品を一緒に買いに行こうと提案してきた。ついでに鍋で米を炊く方法を教えてくれるというのだった。

もう、いい加減認めなければならないが、私は彼女のことを好きになっていたし、彼女が全くの気まぐれで、こういうことをしているのか、それとも友情以上のものがあるのかずっと悩んでいた。