百鬼夜行絵巻開巻蟲払
中世の百科事典『拾芥抄』によれば、正月・二月子日、三月・四月午日、五月・六月巳日、七月・八月戌日、九月・一〇月未日、一一月・一二月辰日はそれぞれ百鬼夜行日であり、夜間出歩くと百鬼夜行に出会うという。『今昔物語集』には、平安京の大路で鬼たちの群れ歩くのに出会ったが尊勝陀羅尼の加護で助かった、という説話が語られる。
現在、絵巻物として数多くの伝本が知られる「百鬼夜行絵巻」は、説話集に語られる百鬼夜行とは違い、器物や動物の化け物たちを描く。現在の妖怪画の多くも絵巻をもとにしているが、本来一匹ずつの名前などはなく、妖怪図鑑的な名付けが広まったのは江戸時代も後期になってから。絵巻の中で有名なのが真珠庵本『百鬼夜行絵巻』で、絵巻を開くと同時に動きだしそうな化け物たちの姿は、いつまで見ていても飽きない。最近は展覧会で出る機会も多いので、できれば右から左へ流れる絵巻の形式でご覧いただきたい。
ちなみに今年八月の「戌日」は11日と23日。夜間外出の際にはご注意を。
弁士口上。
いきなりの長広舌、失礼いたしました。初めてお目にかかりまする、曾呂利亭こと久留島元と申しまする。手前、日頃妖怪馬鹿を以て公言している報い、本誌編集の姐さま方より、節電の夏、一月の涼をお届けせんがため妖怪俳句の試みを致せ、とのお達しを賜り、本日より場をお借りして拙き芸を披露する運びとなりました。なお、TOP画像は妖怪絵師としてご活躍中の松野くら先生より賜りました、豆腐小僧の図でありまする。ご多忙のところ無理を言って賜りました、ありがとうございました。この通り、化け物といっても怖くも恐ろしくもない姿、読者諸兄のご期待に添えますものか、ハナハダ心許ない幕開けでございます。江戸の昔より「野暮と化け物は箱根の外」と申す通り、所詮は実態定かならぬ妖怪変化ゆえ、妄想奇想をもって当たるとも風流典雅の道は遠く、いずれも様も寛容な心で生暖かくお見守りくださりますようお願いします。
