波のかたちの国境(くにざかひ)辞典かな
●泡のかたどる時間●
或る〈かたち〉を、一人で眺めるだけでなく誰かと共有したい。
たとえば泡時計。制作者の寺山紀彦によると、泡時計は時間を〈計る〉のではなく〈楽しむ〉ためのものだそう。シャボン水が下に落ちるたびに、ぽこり、ぽこり、と空気の泡が押し上がる仕組みになっています。
砂の粒子のそれと比べて、空気の泡のかたどる時間は、この上なくあいまい。動画を見ると、時間が〈軸〉と呼ばれるような現象から遠く隔たっていることがわかります。
まさしく、うたかたの日々、とはこのことに違いなく。
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