2011年8月3日

ハンモックゆれて理想的な尻  

 

 

昨日は伝承世界の河童の話だったが、河童は一方、今も昔も人気のキャラクターである。カッパという名称が全国区になったのも、江戸以来の人気が後押ししたのだろう。

カッパの性質としては、まず水辺に出現し、子どもほどの大きさであること、相撲好きなこと、馬や子どもを引きずり込む悪戯をすること、そして人間の尻子玉を好むとされること、などが知られる。尻子玉とは、水死体があがったときに肛門が開いているために仮想された、「尻のなかの玉」である。尾籠な話で恐縮ながら、ここから江戸の草双紙では河童の尻好き、という性格が強調された。もともとカッパには悪戯をしても捕らえられたり、腕を斬られたり、さんざんな目にあう失敗者のイメージがあるが、草双紙では、男色趣味で、分不相応に歌舞伎役者に恋したり、通人に憧れて遊女屋に通ったり、滑稽で強烈な「田舎者」キャラが確立した。これらは確実に現在にも影響している。

 

近代になって芥川は『河童』で河童の直接的で赤裸々な性生活を描き、火野葦平は人魚の排尿に見せられる河童を語り、清水崑のエロティックな河童は黄桜のキャラクターに採用された。現在に至るまで河童は性とスカトロジーに縁が深い。

 

 

参考.アダム・カバット『大江戸化物細見』(小学館、2000)