2012年1月7日

依光隆の絵の背景の天の川

秋元文庫という黄色い背表紙の文庫があって、少年向けSFをよく出していた。
そのカバーの、多分ほとんどを描いていたのが依光隆で、この絵柄、一定年齢以上のSFファンなら大概見覚えがあるはずである。

この若桜木虔『超能力暗殺指令』という本は出ていたことすら覚えていなかったのだが、その辺の一種のブランドイメージ(?)で買ってしまった。
表紙絵の座っている男性は、これも一定以上の年の人なら誰でもわかると思うが、大平首相である。
べつにたまたま大平さんに似た絵になってしまったというわけではない。
本当に作中に大平さんが出てくるのだ。
「大平英芳」と微妙に名前を変えてはあるとはいえ、実在の総理である。
その大平さんが、異星人が当人そっくりに複製して送り込んだアンドロイドとされ、主人公たちに倒されてしまう。
ことさら悪ふざけしているという作風ではなく、普通にSFスパイアクションとして書かれているので、こういう懐かしくもいかがわしい設定の本を見ると、昭和は遠くなりにけりと思う。

昭和のいかがわしさで思い出したが、知人たちとそのうち吟行に行こうという話になっている筑波山の「ガマ洞窟」、あれの日程どうしましょうかね。


*若桜木虔『超能力暗殺指令』秋元文庫・1984年