2012年1月12日

老人のメガネに萌えてゐる汝

広瀬仁紀『頭取指令』は中学生くらいのときに一度読んでそれっきりなのではないか。
何で中学生がこんなものを読んでいたかというと、前回の眉村卓に勤め人が主役の作品が多かったからで、ついでに他の作家の企業小説にも手を出してみたということなのだが、普通、企業小説では登場人物が異世界へ迷い込んだりすることはない。
銀行内の権力闘争は子供から見れば異世界には違いないが、さすがにこの辺の作品はその後しばらく読むことはなかった。
しかし横山明の表紙絵に対する愛着は期待の感覚とともに残ってしまう。こういうのは読まずに期待している時間が貴重。


*広瀬仁紀『頭取指令』角川文庫・1981年