遍歴の銀漢に寝む逗子に寝む
昨日の“猥雑な頃の新宿”で思い出したが、高橋睦郎に『善の遍歴』という長篇小説がある。奇書といってもいい。
記憶だけで書いているから多少違っているかもしれないが(この本も震災後どこにしまいこまれたかわからないのだ)、『華厳経入法界品』に出てくる善財童子の修行の遍歴を当時の新宿に置き換えたような話で、善財童子が訪ねてあるく善知識たちも、薄汚く、いかがわしくも、何やら驚異的な浮浪者といった人たちに置き換えられていた。
挙句、宇宙の彼方に屹立する壮大な×××などというものも登場する(脈絡はさっぱり覚えていない)。
後に作者にお目にかかることになるとは思わなかったが、直接伺ったところでは、これが書かれたのは永田耕衣と知り合う以前らしい。
中南米のマジックリアリズムとか、映画『ホーリー・マウンテン』とか、そういったものの好きな人には一読をおすすめする。
