言葉遊びのひとつだろう。ほうれい線は小鼻の両脇から唇の両端に伸びる二本の線だ。近い場所から、遠い場所へと続くその線は、電車の線路に通ずるところがないとも言えない。
けれども、どこかに続いているわけでもないし、そもそも顔の皺には上りも下りもない。一方通行のようで、終着点も見えず、浮かない気分になってくる。しぐれの淋しさ、冷たさがそれをより強調している。
ほうれい線がないと若く見えるということから、ほうれい線を消す運動など、よく美容番組や雑誌で取り上げられている。皺なので、人の顔にできて問題のあるものではないが、やはり一本くっきり入ってしまったらちょっと嫌だ。それが山手線のようにつながっていたらもっと困る。上りも下りもなく、せめて存在感をしぐれの中に消しておいてほしい存在だ。
『銀化 1月号』(銀化の会 平成24年1月10日)より。