2012年3月16日

正弦波となり飛び去るたましいレタスの水

前略
 今夜は、力学の研究室に泊まります。ここでは、物体の運動について、日夜、実験をしています。空気抵抗が負の値を取る空間でボールを投げてみたり、跳ね返り係数が一より大きい床で弾んでみたり、不思議な実験もできるスペースが用意されています。
 もちろん、もっと普通の実験もしています。波の合成とか、反射とか。
 動き続ける正弦曲線をじーっと見ていると、なんだか不思議な気分になります。人間の精神は脳を流れる電気信号で出来ていて、だからそれをコンピューターに流し込んだら機械の中で生きつづけられると考えて、実際に脳に電極を差し込んで肉体は感電死してしまったけれど精神はいまでもインターネットの上を漂い続けているというマッドサイエンティストの都市伝説があるけれど、そんなものをふと思い出したりしてしまうのは、正弦波の規則性が美しくも不気味だからなのでしょう。
 この都市伝説は不気味だけれど、人間の精神と波との連想には、次のような話もあります。
 ギタリストのジミ・ヘンドリックスは生前、自分のギターはどこか宇宙の彼方にある星から送られてくる信号を受信して、それを音楽に変えているんだ、自分が死んだら魂は信号になって、その音楽の星へ飛んでいくんだ、とバンドのメンバーに語ったのだとか。これはすごいロマンチック。
 長くなってしまったので、このくらい。ではまたあした。

草々

3月16日

“物理シミュレーションの部屋”より
福田若之