2012年6月11日

劇場を出て雑踏へ夏帽子

今回の旅行の目的の一つは、ミュージカルを見ること。

せっかくだから、ロンドンならではの演目を見ようと思い、「WE WILL ROCK YOU」を選んだ。3000円程度の最安の当日券を買ったが、これが大当たりだった。

Queenは偉大だ。劇場全体が名曲に合わせて足踏みを始める。僕はミーハーで「JEWELS」しか持っていないけど、知っている曲が完璧なタイミングで演じられるのだ。ストーリーはSF仕立て。現代文明に皮肉たっぷりの展開はやや強引だったし、ダンスも一糸乱れぬというほどではなかったが、何より歌に感動した。「ミュージカル」という名は、英語に直すと「音楽的」。劇のことを指しているのになぜ音楽、と思っていたが、その意味が今日、よくわかった。感動させる要素における、音楽の比率が非常に高いのだ。

僕は、英語の台詞が35%くらいしかわからない。英国ロックの知識もそれほどないので、みんなが笑っている箇所で笑えないし、それらのジョークをわからないまま拍手をするのは屈辱だった。しかし、それらを差し引いても、見て本当に良かった。しかし、カーテンコールも見ずに、ゴミを散らかしたままそそくさと帰る隣のファミリーがいたのには驚いた。映画館のスタッフロールが流れているときに退出するよりも、今回の件が許せなかったのは、カーテンコールというのは生身の人間が礼をしているからだった。非礼だと思った。

とはいえ、スタンディングオベーションには圧倒された。劇に対するイギリス人の喜びの表し方は、日本人のそれより直接的で強いと感じた。僕も、日本に帰るころには、もっとのびのびとストレートに、感情を表現できるようになっているだろうか。