2012年6月12日

LOVEと背に描きたるデモの裸かな

『カウチ・サーフィン』というサイトがある。海外旅行などをする人が、予めリクエストを送り、他人の家に宿泊させてもらう(カウチをサーフさせてもらう)という形式の、思いやりや信頼による制度である。

今回、僕は20人近くのロンドンに住むホストにリクエストをしたが全員断られたため、結局安いホステルに泊まることにした。しかし、一人だけ、ポルトガル人のヌオという翻訳家が、案内だけならしてもいいと言ってくれたのでこの日はそれに乗ることにした。行き先は、ロンドンで一番大きい市場があるカムデンである。

しかし、道に迷ってしまったのと、ヌオが教えてくれた電話番号にイギリスのナショナルナンバーが記載されていなかったため、スウェーデンから持ってきた僕の携帯から連絡するのに時間がかかってしまった。やっとのことで彼にメールを送ると、「家族の危機が起こってしまい、今日は君に会えない、本当に申し訳ない」という返事が来た。残念だったが、それよりも問題が大きくないことを祈るばかりだ。

結局、僕はカムデン・マーケットを一人で周り、インドのハンモック専門店の店主やイギリスの竹サックス奏者と立ち話をするなど、世界の名物をまたしても巡り、最終目的地のセントポール大聖堂へ向かった。大聖堂はその日は上に昇れず、拝観だけだったが、白を基調にした建築や中の荘厳な雰囲気は、今まで訪れたヨーロッパの教会の中でもなかなか好みだった。

僕は満足してホステルに帰ろうと聖堂を出た。すると、がやがやと大きな音を立てながら、自転車の大群が押し寄せてきた。なんと男も女も全員裸である。あまりにショッキングだった。『”World Naked Bike Ride”』という車社会に対するデモらしく、今年で9回目だという。何に出会うかわからないという意味では、ふさわしい旅の最後だと言える。

さあ、ストックホルムに帰ろう。