2012年6月24日

トマト投げる祭や棒の如く立つ

実は、スウェーデンの大学はすでに夏休みに入っている。夏の旅行の計画を立てるときが一番楽しい、というのは大きな嘘で、計画は実際の旅行をした時に感じる喜びのハードルを上げるために行うべきである。一種の自己への挑戦である。僕は様々な国の様々な顔を覗きたいが、できるならば、その国がもっとも動きを見せる時が見たい。そこには、心の内側がカッと真っ赤になる瞬間が待っているはずだ。

かくして、僕はスペインの「トマティーニャ」には絶対に行こうと決めた。8月末にブニョールという小さな村で行われる、トマトをひたすら投げ合う祭りである。僕は、トマトが全ての野菜の中で一番好きだ。たぶん、世界にある食べ物の中で卵の次に好きだ。僕のためにあるような祭である。もちろん、野菜を投げるのは野菜に失礼だという考えもあるだろう。だから、僕は「ありがとう」という気持ちで、できるだけ大きな口を開けてトマトを全身に浴びたい。