2012年6月26日

カヤックの翁水平線に消ゆ

俳句甲子園地方大会が始まったている。スウェーデンにいてもネットを介して情報は集まってくる。今年も各地で熾烈な争いが繰り広げられているらしい。高校生の時、僕は大した成績は上げられなかったが、あの経験は今の自分に必要不可欠だった。自分や仲間が、試合で他校のみずみずしい句にこてんぱんに負けて、新しい価値観を突きつけられた。関西の進学校で、周りの雰囲気に合わせてなんとなく勉強ばかりしていた僕にとって、俳句甲子園は「世の中受験勉強だけじゃないんだ」ということを知るいい機会だった。高校生において、勉強以外に自分と何かの間に絶対的な壁を感じる機会は、失恋と、それからスポーツや吹奏楽など部活動での敗北などだと思うが、僕にとってそれは俳句甲子園だった。あのまま必死に勉強だけしていたらどうなっていただろうかと思うと恐ろしい。

しかし現在、俳句が好きな大学生の集まる場は少ない。関東の事情は詳しく知らないが、現在、僕は学生の集まりでは自分達で立ちあげた「関西学生俳句会 ふらここ」の他に、「Hiroshima Haiku Omnibus」、通称H2Oと、中山奈々・羽田大祐が運営するメール句会「立体交差」に投句している。学校に行けば友人たちと会えた高校時代と違って、大学生は集まることすら難しい。みんな、俳句以外に取り組んでいることもたくさんある。事実、僕もおどりに懸けていた2年間はろくに俳句が作れなかった。でも、その2年間は俳句を作りたいけど自分の中の俳句の優先順位を上げられないのが口惜しかった。そして、おどりが一段落したのち、誰かが言いださないと俳句仲間が集まらないという状況に気がついた。俳句は無理して作るものではないとも思うが、俳句を作る環境は、少々力を入れないと整えられない。

したがって、今は句会の場を保つことが何よりも大事だと思っているから、投句数が少なくて句会が中止になりそうなら、なんとか無理してでもスウェーデンから投句したいと思っている。僕は、他人のモチベーションを無理に引っ張り上げることはしないが、仲間と面白い俳句を作り、刺激し合いたい、という気持ちは強い。ひとつ、仲間の句を紹介したい。なんかくるしいんだよばかポインセチア/小森はる香 「ばか」まで言い切るところに、面白さがある。