被災地の美少女象を連れ歩く
象が初めて日本にやってきたのは1408年(応永15年)。
スマトラ島からやってきた南蛮船により、
当時の将軍・足利義持への献上品のひとつとして渡来したとされる。
それから600年。僕達は上野動物園で象の悠々とした姿を眺めることができる。
最近は新参者のパンダに圧され気味のようだが、やはり動物園のエースは象だと思う。
伊藤若冲に「白象図」という作品がある。
象というと長い鼻、大きな耳、巨大な体躯を表現すべく、横向きの絵を思うが、
若冲の「白象図」は象の全体を真正面からとらえる。
集中する象の実在感。
絵と向き合うと、身震いさえ覚える。
以下、象の登場する句をいくつか。
火事の雲巨象のごとく町を去る 津久井健之
傘の下から象につながる鎖見る 林田紀音夫
恋人に近づく冬の象の鼻 皆吉司
あたたかや鼻巻き上る象の芸 吉屋信子