ネクタイを肩に撥ねあげ泥鰌鍋  広渡敬雄

ふらんす堂の句集「ライカ」(2009年)より引いた。

クールビズが取り組まれるようになってから、どのくらいたつだろうか。

句に描かれたお店はきっと、下町にあるだろう。

古い建物の中混みあって、とても蒸し暑いだろう。

そんな中で撥ねあげられたネクタイが、男の勢いのよさを際立たせる。

男が真剣に泥鰌鍋を食べようとする様が泥鰌鍋を最高のごちそうに見せる。

食べ物を描いているかと思えば、実際に描かれているのは男で

それなのに食べ物がてとも美味しそうなのだ。

食べ物の句のようで人事の句でもある不思議な二層感をもつ句である。

 

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