人間に踏ん張る力夏怒涛
摩文仁の丘に立ち、波を見つめていると、沖からまっすぐ強く吹いてくる風が、何度も体当たりしてくる。そのたびに体がぐらりとして、しっかりと地を踏みしめ直す。
しばらくは海に魂を奪われていたのだが、ふと気がつくと、あたりにいくつも蝶が飛んでいる。こんな切り立った崖の端で、人間でもよろめくような激しい海風にあおられながら、互いにもつれ合い弾き合っている。ここで生まれて、ここで死ぬのか。
一頭の揚羽が一瞬身をひるがえしたかと思うと、すっと伸びた岬へぱちんと弾かれたように飛んでいき、みるみるうちに見えなくなった。行き場をなくした視線を岬にやると、岬の絶壁は襲い来る怒涛を受け止めて、静かに堪えているように見えた。