2012年10月5日

秋の星ねじつてひとつずつ食べて

電気のない夜は暗くて、ずっと星を見てた。サイレンも車の音も、廊下やまわりの部屋からの声も、いつの間にかしなくなってた。携帯はどこにかけても話し中になる。インターネットも接続できない。開けても灯りのつかない冷蔵庫から、すっかりぬるくなったみかんジュースを出して飲んだ。
明け方すこし眠って、明るくなってから窓の下を見た。車は大破したままで、地面に血だまりが残っていた。その血だまりを犬が嗅いでいる。舐めているのかもしれない。
いったい何が起きているんだろう。
ひとがひとを食べていた。
意味がわからない。
家に帰りたい。
浴衣を脱いで、服に着替えた。
ドアに近づこうとすると、低いうなり声が聞こえた。
塁くん。早く迎えにきて。