秋しぐれ刃物にそれぞれの用途
雨。
村田さんが帰ってこない。
菜々子ちゃんは昨日の晩から熱が出て、冷却シートをおでこに貼って寝た。朝になっても下がらない。村田さんは薬を探しに行くって言った。
「ライフルと、ナイフと、バール。ここにあるから。なんかあったら菜々子を頼む」
自分は鉈を持って、ぶん、と振った。
「頭だ」
「え?」
「頭を狙え。俺が野球部の死体を始末したときみたいに」
寒い、寒いと繰り返す菜々子ちゃんをひざかけ二枚でくるんで抱きしめた。
「おねえちゃん」
「どうしたの? おしっこ?」
「パパまだかなあ」
「もうちょっとかかるかな。きっと遠くの薬局に行ったんだね」
「今日って何日?」
一瞬日付がわからなくなって、日記帳を開いて答えた。
「12日だね」
菜々子ちゃんは真っ赤なほっぺでしんどそうに笑って言った。
「明日、パパの誕生日だよ」