ちょっと奮発して、松茸弁当を買った。弁当を開けたとき、弁当の蓋の裏にも松茸がぺろっとくっついていないかどうか、確認したという句だ。みみっちいといえばみみっちいが、そのみみっちさが庶民である。これが、「のり弁の裏あらためて」となると、プロレタリア俳句めいてくるのだが、松茸だから、大多数の共感を呼ぶ明るい句になっている。
第一句集『揺るぎなく』(2012年9月、角川書店)より。ほかにも「あるある」とうなずける句にひかれた。以下。
マフラーを幾度巻いても気に食はず
みかん剥くことにも飽きて五日かな
風邪の子の寝癖つけたるまま夕餉
松茸を耳を澄ませて割きにけり
遠足の帰り唇しよつぱくて
スピーカー遅れて喋る運動会
彫り上げしごとくに柿の剥かれたる
初みくじ結はへおきさて何食べよ
踊の輪遡りつつ人捜す