ゆく秋の波の上なる肩まくら
「安奈、大丈夫?」
塁くんの声で目を覚ました。特急列車のシートで、塁くんの肩に頭をあずけて眠ってたみたい。
「うなされてたよ」
「すごい怖い夢見てたの」
「どんな?」
「……忘れちゃった」
塁くんは笑って、わたしの頭を撫でてくれた。塁くんの飲んでたみかんジュースを一口もらった。濃くて美味しい。ちょうど車内販売が回ってきたので、同じジュースをもう一本買った。
特急の乗客はまばらだった。こんなに空いてるのに、ドアの側にずっと立ってるひとがいる。野球のユニフォームを着た男の子。高校生だろうか。日焼けした顔でこっちを見てる。ほっぺたに白いにきびがいっぱい。塁くんが小声で「知り合い?」って聞いた。わたしは首を横に振った。
「O駅に着いたら起こすから、もうちょっと寝ててもいいよ」
塁くんに撫でられるとすぐに眠くなる。
結婚したいな、ってなんとなく思った。