2012年10月20日

ゆく秋の波の上なる肩まくら

「安奈、大丈夫?」

塁くんの声で目を覚ました。特急列車のシートで、塁くんの肩に頭をあずけて眠ってたみたい。

「うなされてたよ」

「すごい怖い夢見てたの」

「どんな?」

「……忘れちゃった」

塁くんは笑って、わたしの頭を撫でてくれた。塁くんの飲んでたみかんジュースを一口もらった。濃くて美味しい。ちょうど車内販売が回ってきたので、同じジュースをもう一本買った。

特急の乗客はまばらだった。こんなに空いてるのに、ドアの側にずっと立ってるひとがいる。野球のユニフォームを着た男の子。高校生だろうか。日焼けした顔でこっちを見てる。ほっぺたに白いにきびがいっぱい。塁くんが小声で「知り合い?」って聞いた。わたしは首を横に振った。

「O駅に着いたら起こすから、もうちょっと寝ててもいいよ」

塁くんに撫でられるとすぐに眠くなる。

結婚したいな、ってなんとなく思った。