夏川に入りゆく髪を束ねつつ   石田郷子

きらきらとした「夏の川」に入っていく人を詠んださりげない句。
膝くらいまでしか浸していないとしても、それでも髪をあまり濡らさないようにと束ねる。
これは髪を振り乱してキャーキャーと騒ぐ女の子ではなく、
夏の川の美しさを知り、また自分の美しさも知っているかもしれない、女性のことだろう。
このたっぷりとした文体から、髪を乱暴に束ねたのではなく、美しくまとめたことが分かる。
自然な動作の涼やかさが目を奪うものであることを、きっとその女性は気づいているのだ。

「切干」(『Willow Tit 小雀の会アンソロジーⅡ』椋俳句会、2013.5)より。