引き上げた蛸壺に、海鼠が入っていた。蛸壺に入りさえしなければ、海底でやすらかな時間を過ごせただろうに、蛸壺に入ったばっかりに、引き上げられておそらく誰かの胃袋に入ることになるのだ。まさに一生の不覚。蛸壺といえば、芭蕉の「蛸壺やはかなき夢を夏の月」を思い出す。海鼠もまた蛸壺の中ではかなき夢を見ていたのだろうか。
第十一句集『薬喰』(邑書林・2013年6月)より。
引き上げた蛸壺に、海鼠が入っていた。蛸壺に入りさえしなければ、海底でやすらかな時間を過ごせただろうに、蛸壺に入ったばっかりに、引き上げられておそらく誰かの胃袋に入ることになるのだ。まさに一生の不覚。蛸壺といえば、芭蕉の「蛸壺やはかなき夢を夏の月」を思い出す。海鼠もまた蛸壺の中ではかなき夢を見ていたのだろうか。
第十一句集『薬喰』(邑書林・2013年6月)より。