焼けず白い歯を手にしこれか  栗林一石路

「亡弟追憶」と題された数句のうちの一句。「焼けず/白い歯を手にし/これか」軋み、こすれあいながら一句をかたちづくる言葉の断片たち。話し言葉を書き言葉にする際はふつう、もっと整理して伝達性を高めるわけだが、それがなされる前の状態の言葉が、なまのままひしめきあっている。こうとしか言えない厳しさ。

古沢太穂編『栗林一石路句集』(新日本文庫・1978年12月)より。