悪猫がのそのそ通る大旱   日野草城

「悪猫」に「わるねこ」とルビ。
人相(猫相)の悪い怖い顔の猫を思い浮かべてもいいが、
障子を破ったり書類をぐしゃぐしゃにしたりと些細ないたずらをした猫を、
苛立ちと親しみを込めて「わるねこ」と呼びかけている姿を想像するのも楽しい。
うだるような暑さの中、からからに乾いた道を「のそのそ通る」猫。
晴れの日を喜び走り回るでもなく居心地の悪そうな猫になんだか共感してしまう一句。

遺稿句集『銀』(室生幸太郎編『日野草城全句集』沖積舎、1996)より。