はたはたのをりをり飛べり野のひかり   篠田悌二郎

まず、口に出して味わいたい。細かいリフレイン、「り」の脚韻の軽やかさが気持ちいい。
野原でバッタが時々飛んでいる、という分かりやすい内容だが、
このように弾みのある言葉の連なりにすることによって、
より「はたはた」や「野」の生命感が引き立ち、ひとつの世界を作りあげている。
いわゆる馬酔木調の甘美なリリシズムに寄り添いつつ、たしかな技巧が光る一句。

『自註現代俳句シリーズⅠ期 17 篠田悌二郎集』(社団法人俳人協会、1977)より。