冬山が見える、地方のコンビニ。売られているものの中で、酢の瓶の金色の透明に目が留まった。コンビニを出て冬の山に目をやったとき、冬の日の光が、酢の微光を思い出させる。山は眠っている。風景も静かだ。大いなる眠りの中で、覚めている自分の意識を書き留めた。「山眠る」の相対化と、酢の瓶に宿る詩。
最新句集『揺れる家の構図』(ふらんす堂・2013年9月)より。西荻窪周辺、生活圏内にとどまって俳句を詠むことをおのれに課したというふうな一冊。机、自転車、父、中央線沿線の地名、今日なにを買ったか等、同じモチーフが繰り返し詠まれ、平板で薄い日常を上塗りしていく。掲句は、その中でふと厚みを獲得している作品。