暑けれど佳き世ならねど生きようぞ   藤田湘子

うだるような暑さが続く日々。聞こえてくるのは不穏なニュースばかり。
「暑」いことと「佳き世」ではないことが並列されている大胆さ
一句の錘のように言いとめられている「生きようぞ」という言葉に、
単なる励ましだけではなく、一周回ってなにか諦めたような寂しさも感じ、
読者それぞれに長く余韻を残す一句。

『鷹の百人 鷹年譜』(鷹俳句会、2014.7)より。