ひとりづつ樹のかげにゐる九月かな  亀割潔

樹としていることから、それなりに大きな木なのだろう。そんな樹がたくさんあるから、別に一つの樹を共有する必要はない。だから、ひとり一本づつ樹が与えられている状態だ。それはちょっと贅沢なのだが、少しさみしい気がする。これが夏であれば、暑苦しさもなく、心地よいというだけになったのかもしれないが、九月であることで、暑苦しさよりも憂いが見えてくる。

句集『斉唱』(2014年 ふらんす堂)より。