打って走って泣きたる夜の網戸かな 五百木仁志

青春の網戸。「打って走って泣きたる」で、言わずとも球児の夏が終わったことが分かる。「泣きたる夜」と、切らずに「たる」でつなげることで、彼の時間が夜へとなだれこんでいく感覚も伝わる。網戸という比較的レトロな季語がしっくりくるのは、球児という存在に、すでに昭和の匂いがするからだろうか。前半の「動」と後半の「静」のダイナミックな転換も、句の魅力。

松山東高校俳句部発行「金平糖」第四号(2013年9月)より。