とても広い視界の持ち主なのだろう。秋のどこまでも広く高い空を見上げて、こんなにも高い空の奥に、宇宙が広がっていることに気付くのだ。しかし、その宇宙に思いをはせた後、作者はきちんと現実に戻る。目の前の山葡萄が、それを象徴しているのではないだろうか。山葡萄はワインやジュースになるほどその味が濃い。それは、葡萄ひとつぶひとつぶに世界が入っているようで、果てしない宇宙に思いをはせるまでもなく、目の前の葡萄に充分宇宙を感じ取ることができるように思えるのだ。宇宙にはせる空想と現実の距離感が「や」で生まれている。
『銀化 12月号』より。