雪達磨はるかな海の波高し  大木あまり

雪達磨も、はるかな波も、組成は同じ水のはず。はるか沖にありながら、その高さがわかるほどに激しく躍動している波に対して、ただじっとその沖を見つめて、あとは溶けてゆくしかない雪だるま。動と静の対比をさりげなく織り込み、雪達磨のどこへも行けぬやるせなさを、じんわりとにじませた。

同人誌「星の木」最新16号より。