いつまでも怒つてゐたる秋の蜂  石田郷子

「ゐたる」の、傍観者の距離感。「いつまでも」も、怒りの中に激しく流れる蜂の時間と、それを傍観しているゆるやかな私の時間との差を際立たせている。春でも夏でも冬でもなく秋の蜂の、エネルギーの残量と焦燥感とが「いつまでも怒つてゐたる」に凝縮されている。

同人誌「星の木」最新16号より。