どこに居ても陸橋にいても難解   阿部完市

〈どこに居ても〉〈難解〉なのに、ダメ押しのように〈陸橋にいても〉と加える。
〈難解〉であることから逃れられないという悲観的な気持ちというより、
〈難解〉とはそういうものなのだという定義の句、覚悟の句であると読みたい。
軽い文体と、〈陸橋〉からの見晴らしや風の気持ち良さが、
明解・平易へと誘うが、それこそがこの句の核であるだろう。
明解・平易と〈難解〉はほとんど表裏一体・同一のもので、問題はどう感じるか、ということなのだ。

「陸橋」(『俳句 7月号』角川学芸出版、2008)より。