われを視るプールの縁に顎のせて   榮猿丸

恋の句だ。誘うように、ちゃめっけたっぷりの目で、プールサイドで本でも読んでいるのだろう僕を、くすくす見ている。足を軽くばたつかせたりもするだろう。僕はそれをちらっと見て、さて、プールの中へ入るのかどうか、その先はこの句の外にあることだ。

「プールの縁に顎のせて」という丁寧な言葉のつなぎかたに、小説のワンシーンのような、ドラマのひとこまのような状況喚起力がある。のんびりとプールサイドとプールの縁で視線を交わしあえるというのは、ちょっとしたリゾートのプールという雰囲気である。「俳壇」2011年8月号、作品「氷菓揉む」より。

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