彼のこころのなかは誰も知らない。わたしは、瞬間的に、後ろ姿を想像した。瓦礫に立つ少年は、瓦礫を見つめ、黙り込んでいる。その表情が、わたしには想像できないからだということに、あとから気がついた。
「小熊座」2011年7月号より。「東日本大震災 緊急特集号」と題され、会員内外から、多くの句と文章が寄せられている。
みちのくはもとより泥土桜満つ 高野ムツオ
亡父と亡母しやぼん玉の中で会ふ 菊地紀子
リハビリ終へし母へゼリーのメロン味 菊地ゆう子
目に在れば涙は熱し竜の玉 土屋遊蛍
追憶を瓦礫と言ふな野水仙 浪山克彦
瓦礫から手を振る友の誕生日 渡辺誠一郎
春の星月はかざりのようなもの 一組一朗