九月とも玩具の蟹の軽さとも  野口る理

る理は一児の母であるが、そのことを俳句ではあまり匂わせない。今回よむをやるにあたってこの一年のる理の句をさらったが、これは吾子俳句!と言えるものはなかった。この句もきっと息子君の玩具なのかな?と思う程度で、その使う様子は描かれていない。そもそも、この句は何を描いているのだろうか。「とも」のリフレインから、九月が玩具の蟹と同様の軽さを持っていることがわかる。軽いだから何なのかは、あまり深く考えずに捉えた方がいい句だろう。軽いことが楽しいのだ。例えてみただけだよ。と飄々と言う彼女が想像できる。

2016年9月「九月」より